モロッコでひったくりに出会うの巻

モロッコでひったくりに出会うの巻【僕ら5人のモロッコ旅】

これは私の旅人生において、初めてかつ唯一経験したひったくりの話。

 

あなたがモロッコを旅するとき、この話が参考になれば著者もきっと報われるだろう、、。

 

 

 

モロッコでひったくりに出会うの巻【第一章: 置き去りのピストレオ】

 

砂漠の街・メルズーガを目指し、僕らはアイト・ベン・ハドゥからタクシーで最寄りの都市ワルザザードへ到着した、、。

 

ワルザザードは、映画『ハムナプトラ』や『グラディエーター』、『アラビアのロレンス』など有名作品が撮影された地であり、映画スタジオ『CLASTUDIOS』もあったりと映画にゆかりの深い街で、ハリウッドとも友好都市関係を結んでいる。

 

とは言ってみたものの、僕らはそんなことそっちのけでロンダ(スペインのカードゲーム)に夢中になり宿でのんびと過ごしていた。

 

楽しく過ごしていたのもつかの間、僕はある異変に気付いた!

 

僕「あれ、ピストレオは・・・?!」

 

ピストレオとは、僕らがギターにつけた名前で、一緒に旅をしていたアメリカ人の相方とマラケシュでお金を出し合い旅のお供として愛着の湧いていたアコースティックギターである。

 

相方「宿に忘れちゃったな!!タツも忘れてたでしょ」

 

名前をつけるほど愛着がわいていたピストレオ、、。おお、ごめんよピストレオ・・・

 

僕は歌い手、相方はギターを弾手だったので、相方が持っているものだと思っていた、、。

 

どちらが悪いやらなんやらで揉めそうになりかけたものの、今後はお互い気を付けようということでおさまった。

 

で、置いてけぼりにされたピストレオだが、僕らはすぐさま宿泊していた宿に電話をいれた。

 

昨晩はその宿のスタッフたちとピストレオ(ギター)を使って遊んでいたので、向こうもすぐに忘れ物に気付いていたらしいが連絡のしようがなくて困っていたということだった。

 

親切なスタッフたちは、ワルザザードに向かう知り合いタクシードライバーに連絡をしてくれて、ワルザザードの僕らの宿までピストレオを届けてもらうことになった。

 

 

モロッコでひったくりに出会うの巻【第二章: 感謝の折り鶴】

 

ピストレオを忘れたときは、人生の終わりか?!(大袈裟w) というぐらいショックだったけど、旅の縁にも恵まれピストレオを載せたタクシーを待つことになった。

 

ピストレオを載せたタクシーが到着するのは、数時間後の夜中になるということだった、、。

 

そこでタクシー運転手に感謝の贈り物をしようということにした。

 

それはお守りとして千羽鶴ならぬ、糸で括られた3羽の折り鶴のことで、タクシー車内のミラーにぶら下げられるものをイメージしていた。

 

 

モロッコ砂漠の旅|【マラケシュ旅行記②】でも触れているが、モロッコ旅中、暇さえあれば僕らは折り鶴を作り、作っては旅路で出会った人々に日本の伝統をプレゼントした。

 

ということもあり、三羽鶴を感謝の印にプレゼントすることは僕らにとって自然な流れだった。

 

旅路でバッグパックに蓄えておいた色鮮やかな各地のチラシや雑誌のページから、ベスト3となる鶴の素材を選んだ。

 

そうして感謝と愛情のこもった鶴三羽が仕上がった。

 

そこで次に起きた問題が、鶴を括るための糸がなかったことだった・・・

 

その頃すでに夜11時をまわっていたが、近くであいている店にいけばきっと何かしら代材がみつかるだろう!ということで、僕一人サンダルもはかずに素足で近所にポツリと一件開いていたお店に向かった、、。

 

 

モロッコでひったくりに出会うの巻【第三章: 糸求めラーメン食らう】

 

宿から目と鼻の先の距離に小さなお店はまだポツリと一件だけ開いていた。

 

その商店は「昔ながらの駄菓子屋さん」のようなサイズ感と雰囲気で、インスタント食品やパンが売っていたり、ヤカンやホウキなどの日用品が店には並んでいた。

 

僕「こんばんはー、糸を探しているのだけどあるかな??」

 

店主「ああ悪いね。うちに糸はおいてねえや、明日になれば毛糸なんかが売っている手芸屋もやってるから行ってみたらいいよ」

 

親切に教えてくれたのは喜ばしいが、タクシー運転手が到着するまで1時間ちょっとしか時間が残っていなかった、、。 店主に「ピストレオとタクシー運転手」のことを話してみた。

 

店主「話はわかったがないものはねえな」

 

どうしたものかな。と考え始めていたとき、

 

おばちゃん「糸、うちにあるから持ってくといいよ!」

 

と、店内でラーメンをすすっていたぽっちゃりとしたおばちゃんから親切なオファーを頂いた。

 

おばちゃん「私いそいで食べるのは嫌いだから、あんたもラーメン食べてきなさいよ」

 

夕食を済ませたばかりだったが、ラーメンならいつでも食べれるのと、それとこの不思議な出会いが嬉しくて、おばちゃんとラーメンを付き合うことにし、店主に「ラーメンいっちょ!」と注文をした・・・

 

 

モロッコでひったくりに出会うの巻【第四章: ひったくり参上】

 

ひゃんな流れからモロッコの小さな商店でぽっちゃりおばちゃんとラーメンをすすっていた僕だったが(しかも裸足w)、なんだか幸せな気持ちだった。

 

旅の喜びは十人十色だと思うが、個人的にはこうして予期せぬ出会いに人と時間を共有できるのは旅の喜びだった。

 

そんな喜びを感じるもつかの間、外から

 

「ギャーーーーーーーーーーー!!!!!」 

 

という女性の叫びが聞こえて、すぐさま、店の外にでてその女性のもとへかけつけると同時にその女性は、
道の先を走る男を指さし

 

「バッグが盗まれたーーー!!」と怒り狂っていた。

 

 

 

それを聞いた瞬間、考える間もなく気付けば僕は全力で犯人を追いかけていた。サンダルも履かずに裸足であったことなど完全に忘れていた。

 

短距離と瞬発力だけには昔から自信があって、高校時代は50メートル走では5.6秒と高校でも一番早かったのがちょっとした自慢だった。

 

よし、絶対に捕まえてやるーー!!と意気込んで走った!!
・・・ものの、僕の全盛期は終わっていた、、。

 

 

相手の走るスピードは嘘だろ?!というぐらい早く、追いつくどころかあっという間に街角の暗闇へ消えてしまった、、。

 

久しぶりに本気で走って、息がぜーぜーとあがっていた、、。

 

おばちゃんごめんよ、、と思いながら来た道を戻ろうと振り返った瞬間!

 

ものすごい力で誰かに胸倉を掴まれ引き寄せられた。

 

見ればそれはスリに会った被害者の女性で僕を殴ろうとグーがいまにもと空中に構えていた、、。

 

僕「ちょっと待った待った!なにすんだよ!!」

 

すると商店の店主も近くまできていて
店主「何やってんだよ、君のために犯人を捕まえようと走ってくれた彼じゃないか」

 

「ちっ!」と被害者の女性は、胸倉から手をはなし、「犯人だと思ったのに」と残念そうな反応をしていた。

 

「なにが、ちっ」だよと多少イラっとしたが、バッグを盗まれ興奮しているのだとすぐ理解できたのでそれ以上何もふれなかった。

 

店主「いやー、それにしても君は勇敢だったな!でもー、相手がナイフかなんか持ってたらどうするつもりだったんだ?」

 

僕「・・・」

 

僕は一瞬で我にかえり、自分のした行動にヒンヤリと青ざめるような気持ちを覚えた、、。

 

 

店主「今日はもう遅いし、明日出直してきなよ!まだいるんだろ?朝飯ごちそうしてやるから店に顔出しな!」

 

モロッコの、ひょんな深夜の裏通りで起きた、
「ナイフを潜めたかもしれぬスリと、モロッコですすったラーメン」の物語であった。

 

 

 

モロッコでひったくりに出会うの巻【エピローグ】


photo: Karel Schoonejans

 

残念ながら、糸を譲ってくれるはずだったぽっちゃりおばちゃんはもういなかった、、。

 

宿に戻るとみんなが「何があったの?!!!」と心配していた、、。 スリにあった被害者の女性の叫びが、宿のある裏通り全体で響き渡っていたとしても不思議ではなかった。

 

出来事の流れをひと通り皆に話し、結局糸は手に出来なかったと伝えた、、。

 

すると当時の旅仲間だったスペイン女性が、「これ使いなよ」と彼女のパジャマの腰ひもを抜いて譲ってくれた。

 

ピストレオを載せたタクシー運転手が到着する最後の5分、3話の折り鶴は一つに括られた。

 

タクシー運転手が到着し、僕らはピストレオを受け取り、そして折り鶴を感謝の気持ちにプレゼントした。

 

運転手はとても嬉しそうな顔をしていた。

 

 

【完】

 

 

著者からのメッセージ

 

モロッコは一度だけ訪れ3週間ほど旅しましたが、今でもたくさんいい思い出が残っています。

 

ただ、その逆もしかりで「女性のひとり旅」はおススメできません。

 

当時、女性2名男性3名の旅でしたが、みんながバラけている時に事件は起きた。

 

夕方、一人、部屋で寝ていた友人女性は寝込みを襲われそうになり、もう一人の友人女性は夜の砂漠を延々と深くまで案内され一人では帰れないような場所で誘惑を受けた。

 

そして僕自身がモロッコで経験したのが、このひったくりの話である。

 

魅力高いモロッコの裏側にある誘惑や危険を無視することと
致命的な事件になりかねないことを覚えておいてほしい・・・

 

 

 

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